No.32

介護保険でトイレをリフォームできる?
バリアフリー改修と補助制度を解説

高齢のご家族との同居や在宅介護を始めるにあたり、「自宅のトイレを使いやすくしたい」「トイレの段差をなくしたい」と考える方も多いのではないでしょうか。

介護保険制度には、要支援・要介護の認定を受けた方が自宅で安全に生活できるよう、住宅のバリアフリー化にかかった費用の一部を支給する「住宅改修費」の制度があります。

トイレの改修では、手すりの設置や段差の解消、扉の変更、和式便器から洋式便器への取り替えなどが対象となる場合があります。

この記事では、介護保険を利用した住宅改修について、トイレで対象となる工事や支給額、申請の流れ、自治体独自の補助制度などをわかりやすく解説します。

介護保険の住宅改修費は、要支援・要介護の認定を受けた方が、住み慣れた自宅でできるだけ自立した生活を続けられるようにするための制度です。

手すりの設置や段差の解消など、日常生活での移動や動作を安全にするための住宅改修が対象となります。

支給には限度額があり、住宅改修にかかった費用のうち20万円までが対象です。

ただし、20万円がそのまま支給されるわけではありません。

所得に応じて支給割合が異なり、現在は7割・8割・9割のいずれかが支給されます。

例えば、対象となる工事費が20万円の場合、

  • 9割支給の場合:18万円
  • 8割支給の場合:16万円
  • 7割支給の場合:14万円

が支給上限となり、残りが自己負担となります。

なお、20万円の枠は一度の工事で使い切る必要はありません。限度額の範囲内であれば、複数回に分けて住宅改修を行うこともできます。

介護保険の住宅改修費には、原則として20万円の支給限度基準額があります。

ただし、一定の条件を満たした場合には、再び20万円まで利用できる場合があります。

代表的なのが、要介護等状態区分が一定以上重くなった場合と転居した場合です。

要介護度が上がった場合は、最初に住宅改修を行ったときの状態区分から「3段階以上」重くなった場合などに、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。

また、転居した場合には、転居後の住宅について新たに20万円まで利用できる場合があります。

ただし、これらには細かな条件がありますので、再度住宅改修を行う場合は、事前に自治体の介護保険窓口や担当のケアマネジャーに確認することをおすすめします。

介護保険の住宅改修には、対象となる工事の種類が定められています。

トイレの改修で関係する主なものは次のとおりです。

便器からの立ち座りやトイレ内での移動を安全にするため、壁などに手すりを設置する工事です。

トイレでは、便器の横や出入口付近など、利用する方の身体状況に合わせて設置場所を検討します。

手すりを取り付けるために壁の補強が必要な場合、その工事も付帯工事として対象になる場合があります。

トイレの入口などに段差がある場合、敷居を低くしたり、床をかさ上げしたりするなど、段差を解消する工事が対象となる場合があります。

車いすを使用する方や、足元が不安定な方にとって、わずかな段差でも転倒の原因になることがあります。

トイレ内の床を、滑りにくく移動しやすい材料へ変更する工事も、対象となる場合があります。

特に、立ち座りや移動の際に足元が滑りやすい場合は、床材の変更を検討するとよいでしょう。

開き戸を引き戸や折戸、アコーディオンカーテンなどに変更する工事も対象となる場合があります。

トイレの内側に開く扉の場合、車いすや歩行器を使用している方にとって出入りが難しくなることがあります。

扉を変更することで、トイレへの出入りや介助がしやすくなるケースがあります。

「洋式便器等への便器の取替え」も介護保険の住宅改修の対象に含まれます。

代表的なのが、和式便器から洋式便器への変更です。

また、既存の便器の位置や向きを変更する工事なども、対象となる場合があります。

和式便器から、温水洗浄機能などが付いた洋式便器へ取り替える場合、その便器への取り替え自体が対象に含まれる場合があります。

一方で、すでに洋式便器を使用していて、後から温水洗浄便座などの機能を追加するだけの工事は、介護保険の住宅改修の対象にはなりません。

また、非水洗の和式便器を水洗式の洋式便器へ変更する場合、水洗化にかかる費用は介護保険の住宅改修費の対象外となるため注意が必要です。

介護保険を利用してトイレをリフォームする場合、注意したいのが「トイレを新しくすれば介護保険が使える」というわけではないことです。

介護保険の住宅改修は、要支援・要介護の方の生活上の課題を解消するために必要な改修が基本となります。

そのため、単純に古くなったトイレを新しいものに交換するだけでは、対象にならない場合があります。

例えば、

対象となる可能性がある例

対象にならない可能性がある例

などがあります。

実際に対象になるかどうかは、利用者の身体状況や工事内容、自治体の判断によって異なるため、工事を始める前に確認することが重要です。

介護保険の住宅改修を利用するときは、原則として工事を始める前に自治体への申請が必要です。

一般的には、

  1. ケアマネジャーなどに相談
  2. 改修内容を検討
  3. 住宅改修が必要な理由書などを準備
  4. 自治体へ事前申請
  5. 自治体からの確認・承認
  6. 工事開始
  7. 工事完了
  8. 費用を支払い、自治体へ必要書類を提出
  9. 住宅改修費が支給される

という流れになります。

自治体によって手続きや必要書類、支給方法などが異なるため、必ず事前に確認しましょう。

船橋市でも、住宅改修費の利用には着工前の市への事前申請が必要と案内されています。

「工事をしてから申請すればいい」と考えて先に工事を始めてしまうと、介護保険の支給を受けられなくなる可能性があります。

介護保険とは別に、都道府県や市区町村が独自に住宅のバリアフリー化を支援している場合があります。

例えば船橋市では、介護保険の住宅改修費とは別に、一定の条件を満たす場合に利用できる市独自の住宅改造資金の助成制度があります。

また、船橋市では2026年度の「住宅バリアフリー・断熱改修支援事業」において、手すり、スロープ、段差解消、引戸への変更、トイレの洋式化などが対象工事として挙げられています。

ただし、自治体独自の制度は、対象者・対象工事・助成額・所得要件・申請時期などが自治体ごとに異なります。

さらに、介護保険や他の補助制度を利用している場合に、併用できなかったり、補助対象となる金額が調整されたりすることもあります。

そのため、「自分の住んでいる地域ではどの制度が利用できるのか」を自治体の窓口やホームページで確認することが大切です。

介護のためにトイレや浴室などをリフォームする場合は、工事を依頼する前に、担当のケアマネジャーや自治体の介護保険担当窓口などに相談することをおすすめします。

どのような住宅改修が必要なのか、介護保険の対象になるのか、どのような手続きが必要なのかを事前に確認しておくことで、余計な自己負担を避けやすくなります。

また、住宅改修の内容によっては、作業療法士などの専門職や福祉住環境コーディネーターなどに相談することで、利用する方の身体状況に合った住環境を検討しやすくなります。

特にトイレは、毎日何度も利用する場所です。

「立ち座りがつらい」「トイレの出入りがしにくい」「手すりがほしい」「和式トイレを洋式に変更したい」など、現在困っていることを整理してからリフォームを検討するとよいでしょう。

介護保険の住宅改修費では、20万円を支給限度基準額として、対象となる工事費の7~9割が支給されます。

トイレについては、

  • 手すりの設置
  • 段差の解消
  • 滑りにくい床材への変更
  • 扉の引き戸などへの変更
  • 和式便器から洋式便器への変更
  • 便器の位置や向きの変更

などが対象となる場合があります。

一方、単なるトイレの老朽化や故障による交換、すでに洋式便器を使用している場合の温水洗浄機能の追加などは、介護保険の住宅改修費の対象にならない場合があります。

また、介護保険とは別に自治体独自の補助制度が利用できる場合もあります。

重要なのは、工事を始める前に制度の対象になるか確認することです。

トイレのバリアフリー化や交換を検討している方は、まず担当のケアマネジャーや自治体の窓口に相談し、利用できる制度を確認してから工事を進めるようにしましょう。

トイレの交換やバリアフリー化について、工事内容を検討したい方は、日本水道センターまでお気軽にご相談ください。


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