わんちゃんを飼っているご家庭は多いですね。朝夕散歩をさせるわんちゃんは、その道中で用を足します。飼い主は大便のほうを掃除して持ち帰るのがマナーですが、中にはそのままというケースも決して少なくはありません。
公園や道は皆が利用するところ、道中にフンがあると非常に不愉快になるばかりか、害虫の原因にもなりますので不衛生ですよね。間違えて踏んづけてしまうと迷惑以外の何者でもありません。景観だけではなく衛生面でも、放置することの重大さを知ってもらう意味でわんちゃんのフンをそのままにしておくと罰金扱いとされる国もあります。
そこで、「エル・ベンドレル」というスペインのバルセロナ郊外にある美しい海岸の近くにある小さな街で、このほどわんちゃん専用の公衆トイレが設置されました。トイレといっても、人間用のように個室や区切られたものではなく、専用スペースにステンレス製のポール状の柱が立っているものですが、ちゃんと小便用と大便用に分けられているのです。
わんちゃんの行動を10年間以上に渡って観察してきた愛犬家による考案で、わんちゃんも躾をきちんとすれば人間と同じようになってくる、という見解でわんちゃん専用のトイレが必要ということです。
使い方はいたってシンプルで、小便用はオスの場合は足をあげてポールめがけてチーっとする、メスはお座りしてチーっとするもので、下がメッシュになっているのでオシッコまみれになりません。
また、大便用は小便用の隣に設置されていて、わんちゃんが用を足した後で飼い主がレバーを押すと水が流れるという仕組み。水洗式となっているため、その場で大便が流れていくので清潔を保つことが出来るばかりか、放置による被害がなくなるというものです。
今回のわんちゃん専用手洗いの前にも幾つか造っていましたが、改良に改良を重ねて現在のものは小便後に水を流しても完全に洗い流すのではなく、微妙に匂いが残るようにすることによって、ここに小便をしてもいいと認識させる狙いが組み込まれています。
ステンレス製のポール状という作りは、一見ただの銀色の柱に映りますが、周りの雰囲気と調和させるには奇抜な色や形にするよりもシンプルのほうが溶け込みやすいということです。
見た目と使い勝手について街の人は賛否両論で、「お金をかけて作るならフェンスで囲ってその中にわんちゃんを放して自由にさせるほうが交流も出来ていい」という意見や、「スチール製よりももっとナチュラルな素材のほうが自然にマッチする」といった意見、「無料ならいいと思う」という意見、全てのわんちゃんがここで用を足すとは限らないことや、水洗式といっても清掃が必要になってくるため、誰が管理をするのかなど課題はあるようです。
エル・ベンドレルの街では、飼い主がマナーを守らないと罰金で最高750ユーロ、バルセロナやマドリードのような都会では最高1500ユーロの罰金が課せられるほか、マドリード郊外のコルメナル・ビエホでは見張りGメンまでいるなど、街の景観を守るため街全体で取り組んでいるようです。
日本にもこのようなわんちゃん専用公衆手洗いが設置されるといいですね。