寒い時期になると、お手洗いに行く回数が増えるのは誰しもが経験することだと思います。他にも、緊張している時や、夜に水分を摂りすぎた時は自然とお手洗いが近くなりますよね。
まず、おしっこというのは水分ですが、この水分とは体にとって不要となったものです。不要になった水分を排出する方法は二通りあり、先ずは「汗」、もう一つは「尿」です。汗腺から分泌される液体の99%が水分で、腎臓で作られた排泄物が液体化されたものが血液中の老廃物、水分、尿素などが含まれます。
では、冬などの寒い時期になると何故おしっこが近くなるのでしょうか。夏場は汗をかきます。汗は上昇した体温を少しでも下げる意味で体温調節するものですがこの汗に含まれる液体は体の老廃物となります。また尿も体の老廃物。水分が出るとそれだけ体から抜けるので新しい水分補給が必要となってきます。
水分を摂ると、そこから必要なものだけが体に吸収され、不要となったものが腎臓でろ過されて尿となるのですが、夏場は汗をかきやすいため、不要な水分が汗となって出て行きます。そのため尿として排泄する量が少なくなるのです。逆に、寒い季節になると暑い時期ほど汗をかくことがありません。汗は一年中出ていますが、気候(温度)によって量が異なりますので、寒い時期になると汗として出る量が少なくなり、摂取した水分と排出すべき水分の差が大きくなってしまい、その分尿として排泄される量が多くなるため、寒くなるとトイレが近くなるというわけです。
また、この他にもおしっこをしたくなる理由として、尿を溜める膀胱の筋肉が寒さで縮みやすくなることがあげられます。膀胱の筋肉が縮むとおしっこに行きたくなるという合図が脳に送られますので、寒い時期になるとトイレが近くなるのです。また、体が冷えると腎臓の働きが活発になるため、盛んに尿が作られるようになり、膀胱が一杯になりやすくなるため、お手洗いの回数も増えると考えられています。
しかし、寒い時期は暑い時期ほど水分を欲しなくなり、摂取量も比較的少なくなります。汗として出ないからといってその分お手洗いが近くなるというのはどこかおかしいと感じるかもしれません。しかし、体というものは上手に出来ていて、気温が低くなると寒さから皮膚の表面を守ろうとして血液量が増すのです。血液は体内を一巡りするので、腎臓も通過点となり、腎臓としての役割は血液であろうと何であろうと、水分は血液中の老廃物となる尿を作り出す臓器です。
そのため体が冷えると腎臓の働きも活発化し、また寒さで縮んだ膀胱を刺激するので尿がそれほど溜まっていない状態でも尿意を催すという仕組みです。そのため寒くなると尿意を催す回数が増えますが、必ずしも多くの量が出るというものではないという原理もご理解いただけることでしょう。尿意は膀胱一杯に尿が溜まった状態以外に、刺激によって催されるということもあり、何れにしても夏場の汗をかきやすい状態よりも寒い季節のほうが体内に水分が溜まりやすいため、尿として排泄する仕組みとなります。