「ユニット」と言うと、トイレとお風呂、洗面台が一緒になった設備をイメージしがちですが、実はこれは正しくありません。
これは本来「3点式ユニットバス」と呼ばれるタイプになります。洗面台とお風呂が一緒になったタイプを「2点式ユニットバス」と呼び、ただ「ユニットバス」と呼ぶ時は浴室のみを指しているのです。
そもそも、ユニットバスとはすでに成形された天井・浴槽・壁・床などのパーツを、現場に直接搬入した上で組み立てるタイプの浴室を言います。この組み立て方法は「乾式工法」と呼ばれます。 この工法だと他のタイプに比べ、施工にかかる時間を短縮でき、水回りのトラブルなどのリスクも少なく、防水性・保温性が高いなどメリットが多いため、現在多くの建築に用いられています。 こうしたことを知らずに物件を探すと、ユニットと言うだけでその物件を選択外にしてしまうことになります。 しかし、浴槽とトイレが別になっている可能性もありますので、「何点式」なのかを確認するようにしましょう。
経年劣化によりリフォームを考える場合は、いくつか注意点があります。まず、賃貸物件の場合は、勝手な施工依頼は当然できず、まず物件の管理者に相談する必要があります。その上で交換するか否か、交換する際の工賃の負担などについて、段取りを決めていくことになるでしょう。
また、トイレ交換と言っても、3点式の場合は少々勝手が違います。 浴槽や洗面台、手洗いは全てつながっており、一部となる便器「だけ」を交換することは厳しく、メーカーごとのユニット交換などで対応する必要があります。
とは言え、使用が困難になる程の劣化は看過できませんので、管理者に迅速に対応願いましょう。
賃貸だと、3点式のような便器とお風呂の一体型は評判が悪く、オーナーや管理会社はそうした対策のために、3点式の分離工事を計画することがあります。
3点式ユニットバスの分離工事には、以下のようなものがあります。
既存のユニットバスからトイレを分割し、移設する方法
便器を移設するため、トイレ室を増設できるスペースがないと施工不可とされています。
浴室と便器を別々にすることができるため、トイレ側にコンセントを配し、暖房便器などの設備を取り付けることが可能になります。
浴槽を撤去し、便器とシャワー・洗面台のみの「シャワーブース」にする方法
便器とシャワーの間にはカーテンではなく、きちんと間仕切りが設けられます。
浴室そのものがないため、このタイプは人を選びます。ただし、空間をかなりすっきりさせることができるため、掃除や手入れの負担は軽くなるかもしれません。
既存のユニットバスは手を付けず、便器と浴槽の間に引き戸を入れて分離する方法
従来カーテンで仕切る所を、引き戸に変えて密封できる状態にしたタイプです。
浴槽を密封できるので水のハネや湿気・蒸気を抑えることができます。
他の分離工事と比べて費用が安く済む所があります。
また、場合によっては便器側にコンセントを配し、暖房便器などの設備を取り付けることも可能になります。
既存の浴槽をコンパクトサイズなものと交換し、得られたスペースでトイレから分離する方法
浴槽をコンパクト化した上で便器と分割できるため、通常のスペースより狭くなります。
ただし、分割による別室化が図れるため、浴室、トイレのどちらにもドアを付けることができます。
また、トイレにはコンセントが取り付けることができるので、暖房便座も設置可能になります。
以上が、主な分離工事となっています。 物件のオーナーや管理会社では、空室対策としてこうした工事の費用対効果に頭を悩ませることが多くなってくるでしょう。