【生活習慣情報】
~七年の病に三年の艾を求む~
【ことわざ】もぐさは灸に使うや薬草、十分に乾燥したものがよいとされる。七年もの長い間病気に苦しんだあとで、三年間乾かした上等の艾を求めるという意味病気が重いのに気づいて、慌てて良薬を探すということ。急場に臨んで慌てても間に合わない、平生からの心掛けが肝心というたとえ。
『ノロウイルスとは?』
ノロウイルス(Norovirus)とは非細菌性急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種である。カキなどの貝類の摂食による食中毒の原因になるほか、感染したヒトの糞便や嘔吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃を介して経口感染する。ノロウイルスによる集団感染は世界各地の学校や養護施設などで散発的に発生している。「NV」や「NoV」と略される。
【ノロウイルス語源】ノロウィルスは1968年にアメリカのオハイオ州ノーウォーク(Norwalk)という町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便から始めに検出されたので、2002年の国際ウイルス学会で頭3文字「Nor」+連結辞「o」+「virus」=ノロウィルスとなりました。
【ノロウイルス症状】
主な症状は、嘔吐・下痢・発熱で、日本ではかつて「お腹の風邪」と呼ばれていた。症状には個人差があるが、主な症状は突発的な激しい吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、悪寒、38℃程度の発熱で、嘔吐の数時間前から胃に膨満感やもたれを感じる場合もある。これらの症状は通常、1、2日で治癒し、後遺症が残ることもない。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、死亡した例(吐瀉物を喉に詰まらせることによる窒息、誤嚥性肺炎による死亡転帰)も報告されている。
また感染しても発症しないまま終わる場合(不顕性感染)や風邪症候群と同様の症状が現れるのみの場合もある。一般に「嘔吐、下痢、腹痛を伴う風邪」という表現があるが、それらが実はノロウイルスによる感染症の可能性も低くはなく(エンテロウイルス等の他の原因もある)、単なる風邪ではない場合がある。これらの人でもウイルスによる感染は成立しており、糞便中にはウイルス粒子が排出されているため、注意が必要である。
【ノロウイルス感染経路】
1.飲食物からの感染(感染型食中毒)
a. 食中毒:ウイルスを蓄積した食材およびウイルスで汚染された食品を喫食して感染。
b. 水系感染:水道水、井戸水などがウイルスで汚染され、その水を飲み感染。
2.ヒトからヒト
c. 感染者の糞便や嘔吐物から手指を介して感染。
d. 感染者の糞便や嘔吐物に排出されたウイルスが付着し、飛散した飛沫から空気感染。(飛沫感染或いは塵埃感染とも呼ばれる)
e. 感染者が十分に手を洗わず調理した食品を食べ感染。
販売あるいは調理提供する食品そのものの衛生管理の(食品衛生学的な)立場からは『飲食物からの感染』のケースが、院内感染などの感染管理の立場からは『ヒトからヒト』のケースが特に問題とされるが、症状や経過には感染経路による違いはない。国立感染症研究所の病原微生物検査情報(2006/2007年の統計)の集団感染事例の集計によると、原因食品が明確ではないケースが約6割を占めており、汚染食品の摂食よりはるかに多い原因となっている。
【ノロウイルス潜伏期間】ノロウイルスの感染から発症までの潜伏期間には、個人差、年齢、体調などにもよりますので一概にいえませんが、一般的には1~2日といわれていて、24時間くらいで「ノロウイルスかな?」と思われる激しい腹痛や吐き気、悪寒などがでてくることが多いようです。
その後、個人差はありますが、短い方で24時間くらいで、嘔吐や下痢などの激しい症状はおさまり、数日でむかつきなどの症状も落ち着き回復していきます。しかし自己判断することなく、かかりつけのお医者さんの診察を受けましょう。
【ノロウイルス治療方法】ノロウイルスに対する治療薬は、ありません。
症状が持続する期間は1~2日と短いので、その間に脱水症状にならないように、できる限り水分の補給をした方がよいでしょう。症状が重い場合は病院で点滴をしてもらうのが一番です。抗生物質は、下痢の期間を長引かせることがあるので効果がなく、ノロウイルス感染症に対しては通常は使用しません。その他は吐き気止めや整腸剤などの薬を使用する対症療法が一般的です。下痢が長びく場合には下痢止めの薬を投与することもありますが、感染初期の段階では、ノロウイルスを排泄させた方が良いとの考えから、使用しないことがあります。水分を多めに取り、食事ができれば栄養のあるものを食べてノロウイルスを少しでも早く体の外に追い出すようにしましょう。また、ノロウイルスにかかった方の吐物や便にはたくさんのウイルスがいて、ノロウイルスの症状が治まった後でも、最低一週間くらいは便にウイルスがいると言われています。
【ノロウイルス予防】
人によっては感染しても発病せずに、ノロウイルスを便から排出し続けている場合があります。保護者などの大人の方が知らないうちに子供にノロウイルスを感染させてしまう可能性もあります。ノロウイルスを感染させないようしっかりと予防しましょう。ノロウイルスの予防の基本は、石けんでの手洗いです。石けんを良く泡立ててしっかり洗ってください。石けんの泡で手の油分を落とすことにより、ノロウイルスも落ちやすくなります。乾燥が気になる季節では、しっかり洗った後に保湿クリームなどで潤いを与えてください。ノロウイルスに感染した貝類の内臓を生や十分に加熱せずに食事をしないこと。貝類を調理したまな板や包丁はすぐに熱湯で消毒しましょう。かきや大アサリ、シジミ、ハマグリなどがノロウイルスによる食中毒を起こす可能性があります。厚生労働省から発表されている食品の効果的な加熱時間と温度は、85度で1分間以上の加熱をすればノロウイルスの感染が予防できるとされています。ノロウイルスの感染者の便や嘔吐物には、ノロウイルスが大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体の中に入っただけで、容易に感染します。集団感染を防ぐためにも、感染者のウイルスが含まれている可能性が高い便や嘔吐物の処理をするときは充分気をつける必要があります。ノロウイルスは、時間が経っても感染する場合があり早く処理する必要があります。また、処理をするときに吸い込むことで感染してしまう飛沫感染をすることもあります。便や嘔吐物を処理する時は、処理する人以外は近寄らないようにしましょう。処理には、使い捨てのマスクや手袋を使い、ウイルスが飛び散ることも考えて、めがねやゴーグルなどをしたり、作業をする服はビニールなどをかぶるか、捨ててもいい服を着用しましょう。雑巾やタオル等で便や嘔吐物をしっかりとふき取ります。汚染された床などもふき取り、ふき取った後は、次亜塩素酸ナトリウムなどをうすめた塩素系消毒剤(塩素濃度200ppm)でふき取り、その後、水拭きをします。ふき取りに使った雑巾やタオルはビニール袋に入れて密封し、捨てたほうがよいでしょう。 消毒剤の希釈をする際も素手で行わずに手袋を用いるとよいでしょう。便や嘔吐物などで汚れた衣類は大きな感染源となります。そのまま洗濯機で他の衣類と一緒に洗ってしまうと、洗濯槽内にノロウイルスが付着するだけではなく、他の衣類にもウイルスが付着してしまいます。便や嘔吐物で汚染された衣類は、マスクと手袋をした上でバケツやたらいなどでまず水洗いし、更に塩素系消毒剤(200ppm以上)で消毒するとよいでしょう。
【ノロウイルス検査】ノロウイルスの検査は、通常の医療機関で検査はできず、迅速な検査もありません。しかし、集団感染などで感染拡大が考えられる場合などには、保健所などが迅速な検査をする場合はあります。どうしても個人的に「ノロウイルスの検査をしたい!」という方は医療機関で申し出れば検査をすることは可能ですが、「保険適用外」で2万円~3万円くらいの高額な費用がかかります。保険適用外ということは、行き過ぎた医療という意味でもありますし、ノロウイルスの検査をするなどして調べたとしても、その後の治療に影響しないといわれています。(ノロウイルスの特効薬はありません)風邪にかかって、どんな種類の風邪かを調べないことと同じといえます。ですので、ノロウイルスかどうかを確認する検査を受けるより、栄養をつけ水分補給をし、安静にしているのが得策です。ノロウイルスの検査には、電子顕微鏡法やRT-PCR法、リアルタイムPCR法などがあり通常、ノロウイルス患者のふん便や吐物を用いて検査が行われます。中でもリアルタイムPCR法は、ウイルスを数量で表すことも可能な検査法です。
【ノロウイルス療養方法】2006年現在、ノロウイルスに有効な抗ウイルス薬(ワクチン)は開発されていません。したがって、脱水症状を防ぐために、点滴などで水分や栄養分を補給するなどの「対症療法」が治療の中心となります。家庭では、スポーツドリンク、または「生理食塩水」を電子レンジなどで人肌に暖めて飲むことが有効でしょう。「生理食水」・・・0.9%の食塩水のこと。水100ミリリットルに食塩0.9グラムの食塩を溶かします。ただし、この塩分量では足りないという説もあります。塩分の割合が汗と同程度なので、下痢・嘔吐で失われる電解質量からすると不足してしまうのです。このほかに、あたたかい昆布茶・コンソメスープ・具のないみそ汁もいいでしょう。みそ汁はアミノ酸のバランスもよく、栄養補給にもなります。コップ1杯・お椀1杯を30分くらいかけて、一口ずつゆっくりと含んで飲むようにすると、嘔吐感で縮こまった胃をほぐしてくれる作用もあります。塩分を含まない湯冷まし、お茶などは水分の吸収が遅くなります。