『インフルエンザ』

【生活習慣情報】

風邪は万病のもと

【ことわざ】たかが風邪くらいと軽く見てはいけないという戒めです。少しでも熱があったり、 寒気がしたら早めに体を休めたほうがよいということ。  また、風邪の症状が長びくような場合は別の病気も考えられるという意味もあるようです。特にインフルエンザは、高い熱が出て食欲がなくなりますから早めの予防、治療が大切です。

 

インフルエンザとは?

インフルエンザとはインフルエンザウイルスによる急性感染症の一種で流行性感冒(りゅうこうせいかんぼう)、略称・流感(りゅうかん)ともいう。発病すると、高熱、筋肉痛などを伴う風邪の様な症状があらわれる。急性脳症や二次感染により死亡することもある。

インフルエンザとヒトとの関わりは古く、古代エジプトにはすでにインフルエンザと見られる病気の記録が残っている。最も重大な転機は1918年から1919年にかけて発生したスペインかぜ(スペインインフルエンザ)の世界的な大流行である。これは規模、死亡率の点で強力で、感染者数6億人、死亡者数4000万–5000万人にのぼり、第一次世界大戦終結の遠因ともいわれる。スペインかぜ以降も、インフルエンザは毎年継続して感染流行を起こしている。さらに数年から数十年ごとに新型のヒトインフルエンザの出現とその新型ウイルスのパンデミックが起こっており、毒性の強い場合は多数の死者が出る。

2009年には、豚由来の新型インフルエンザのパンデミックが発生し、大きな問題となった。この2009年型と毎年流行する季節性が共に死亡率がとても低いことなどから「インフルエンザは風邪の一種、恐れる病気にあらず」と捉える人が多くなったが、これは誤解である。インフルエンザの症状はいわゆる風邪と呼ばれる症状の中でも別格と言えるほど重く、区別して扱う事も多い。現在のようなパンデミック化した新型のインフルエンザは人類にとって危険なウイルスである。

日本などの温帯では、季節性インフルエンザは冬季に毎年のように流行する。通常、11月下旬から12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク。学校が冬休みの間は小康状態で、翌年の1-3月頃にその数が増加しピークを迎えて4-5月には流行は収まるパターンである。

【インフルエンザの語源】「インフルエンザ」の語は16世紀のイタリアで名付けられた。当時は感染症が伝染性の病原体によって起きるという概念が確立しておらず、何らかの原因で汚れた空気(瘴気、ミアズマ)によって発生するという考え方が主流であった。冬季になると毎年のように流行が発生し春を迎える頃になると終息することから当時の占星術師らは天体の運行や寒気などの影響によって発生するものと考え、この流行性感冒の病名を、「影響」を意味するイタリア語influenza(英influence)と名付けた。この語が18世紀にイギリスで流行した際に英語に持ち込まれ、世界的に使用されるようになった。なお、日本語となっている「インフルエンザ」は英語読みであり、イタリア語での読みは「インフルエンツァ」である。

日本では平安時代に近畿地方でインフルエンザらしき病気が流行したと記述が残っており、江戸時代には幾度か全国的に流行し、「お七かぜ」「谷風」「琉球風」「お駒風」など当時の世相を反映した名称で呼ばれた。古くから風邪、風疫とされるとおり、悪い風が吹いて人々を病気にするという認識があった。幕末にはインフルエンザの名称が蘭学者より持ち込まれ、流行性感冒と訳された。

 


【インフルエンザウイルス】インフルエンザウイルスにはA・B・Cの3型があり、このうちA型とB型がヒトのインフルエンザの原因になる。C型は小児期に感染して呼吸器感染症の原因になりC型インフルエンザと呼ばれるが、毎年世界的な大流行を起こす一般的な生活の中で呼ばれるものとは症状や原因ウイルスの性状の点でも差異が大きい。

A型とB型のウイルス粒子表面にあるヘマグルチニンとノイラミニダーゼという糖蛋白は変異が大きく、インフルエンザの種類が多い要因となっている。

A型インフルエンザウイルスにはHAとNAの変異が特に多く、これまでHAに16種類、NAに9種類の大きな変異が見つかっており、その組み合わせの数の亜型が存在しうる。亜型の違いはH1N1 – H16N9といった略称で表現されている。ヒトのインフルエンザの原因になることが明らかになっているのは2009年現在で、「Aソ連型」として知られているH1N1、「A香港型」として知られているH3N2、H1N2、H2N2、の4種類である。この他にH9N1、高病原性トリインフルエンザとして有名になったH5N1などのいくつかの種類がヒトに感染した例が報告されているが、ヒトからヒトへの伝染性が低かったため大流行には至っていない。しかし、いずれ新型インフルエンザが定期的に大流行を起こすことは予言されつづけている。ヒトに感染しない亜型のウイルスは鳥類や他の哺乳動物を宿主にしていると考えられている。特に水鳥ではHAとNAの組み合わせがすべて見つかっており、自然宿主として重要な地位を占めていると考えられている。同じH1N1であってもさらに細かな変異によって抗原性や宿主が異なり、年によって流行するウイルスの型は異なる。

B型は遺伝子がかなり安定しており、免疫が長期間続く。C型は遺伝子がほとんど変化しないので免疫が一生続く。A型は時々遺伝子が大きく変わるので、時折パンデミックを起こす。

2008年現在、専門家にとっては新型インフルエンザの大発生が予想され、国が貯蔵している新型インフルエンザのワクチンが足りないと批判が出ており、厚生労働省も対策に乗り出している。さらに2009年6月11日、WHO(世界保健機関)は新型インフルエンザの世界的な感染拡大を受け、警戒レベルを最も高い「フェーズ6」に引き上げた。これによりパンデミック(世界的大流行)が宣言された。

 

【新型インフルエンザ】新型インフルエンザ は、インフルエンザウイルスのうちヒト―ヒト間の伝染能力を新たに有するようになったウイルスを病原体とするインフルエンザ感染症である。日本の法律による定義は、「新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの」(感染症予防法第6条第7項第1号)である。

 

【インフルエンザの症状】風邪(普通感冒)とは異なり、インフルエンザ潜期間後の症状は、突然38~40度の高熱出て発病し、それと同時に悪寒、頭痛、乾性の咳、背中や四肢の筋肉痛、関節痛、全身倦怠感、食欲不振などの全身症状が現れます。これに続いて、鼻水、のどの痛みや胸の痛みなどの症状も現れます。発熱は通常3~7日間続き、約1 週間の経過で軽快するのが典型的なインフルエンザの症状で、いわゆる「かぜ」に比べて全身症状が強いのが特徴です。
一方、新型インフルエンザの主な症状は、体温38度などの急な高熱、頭痛、咳、筋肉痛、倦怠感、下痢、嘔吐、のどの痛み、鼻水など。発熱が伴わないこともあります。季節性インフルエンザと症状が類似していますが、季節性インフルエンザに比べ、新型インフルエンザの症状は、下痢などの消化器症状が多い可能性が指摘されていますので、注意が必要です。

 

【インフルエンザ感染経路】咳・くしゃみなどによる飛沫感染が主と言われている。一般的には経口・経鼻で呼吸器系に感染する。飛沫核感染(空気感染)や接触感染など違った形式によるものもある。

【インフルエンザ潜伏期間】インフルエンザ潜伏期間は、一般的には1日から2日と言われ、その後症状が現れます。短いインフルエンザ潜伏期間では24時間後に症状が出て、長いインフルエンザ潜伏期間では4~5日後に症状が出ると言われています。また、新型インフルエンザの潜伏期間は1~7日程度と言われています。

【インフルエンザ治療方法】インフルエンザウイルス自体に対する治療としては抗インフルエンザ薬しか無いが、その効果は根本的なものではなく発症後早期(約48時間以内)に使用しなければ効果が無いとの事。

【インフレエンザ感染予防手段】一般的な予防方法としては、日常生活上の注意とワクチンを使用した予防接種がある。

1.予防接種
免疫をつけるためにインフルエンザ流行期の2ヶ月前の11月くらいから接種を行います。約7割が発症しなかったり、軽症ですむといわれています。インフルエンザのワクチン効果は、接種の10日後~約1ヶ月後ピ-クとなり、その後効果が薄まりますが、約1年くらい効果が続きます。

2.うがい及び手洗い(マスク着用も有効)
咳・クシャミなどからの飛沫感染を防ぐことはできます。マスク着用は予防だけでなく、インフルエンザ患者がマスク着用により、飛沫感染自体を防ぐことができます。もちろん睡眠や栄養に心がけ、過労や不摂生をさけることが一番大切なことです。また、人混みをさける外出自粛もインフルエンザが流行る時期には考えましょう

3.温度と湿度を適度に保つ
インフルエンザウィルスは低温・低湿ですと空気中に長く浮遊してしまいます。室内の気温20度以上で湿度50%以上になると、インフルエンザウィルスの生存率が3%程度にまで落ち込むといいます。飛沫核感染を防ぐためには室内の温度・湿度を保つ必要があるのです。だからといって温度・湿度が高くし過ぎては、室内環境が高温多湿になり、カビの原因になります。インフルエンザとカビの両方を考えると、室内の気温20度以上で湿度50%を維持することが理想的といえます。湿度を維持するには、洗濯物を部屋干ししたり、加湿器が有効です。さらに、除菌効果がある床用ワイパーで床を拭くと空気中から落ちたウィルスを除去できます。じゅうたんには、コロコロが有効です。

基本的に免疫力の低下は感染しやすい状態を作るため、偏らない十分な栄養や睡眠休息を十分とることが大事です。また、感染の可能性が考えられる場所に長時間いることを避ける必要があり、人ごみや感染者のいる場所を避けるなど、予防にマスクを用いた場合は速やかに処分しましょう。
同時に換気をこまめに行い、(空気清浄機などでも良い)部屋の湿度(50-60%)を保つ。これにより、ウイルスを追い出し飛沫感染の確率を大幅に減らすことが可能です。

 

【インフルエンザワクチン】ワクチンは身体の免疫機構を利用しウイルスを分解・精製したHA蛋白などの成分を体内に入れることで抗体を作らせ、本物のウイルスが入ってきても感染させないようにする。ワクチンの接種により仮にインフルエンザにかかったとしても軽症で済むとされるが、個人差や流行株とワクチン株との抗原性の違いにより、必ずしも十分な効果が得られない場合もある。投与手段は皮下注射や筋肉注射であるが、米国では鼻噴霧式のものも認可されている。

【インフルエンザ検査】2001年頃より迅速に診断が可能な検査キットが臨床の現場で使われ始め、現在は普及している。臨床検査技師など専門家がいなくても簡便にできる。鼻の奥の咽頭に近い部分を採取すると検出率が高いとされ、検体は基本的にその部分から採取される。時間的には15–20分で結果が分かる。A型とB型の鑑別も可能である。オセルタミビルは発症後48時間以内が非常に有効とされるため、迅速診断は非常に重要な検査方法となっている。

【インフルエンザ対症療法】①暖かい場所で安静にする。②水分を十分に摂る。③空気の乾燥に気をつける。④体を冷やさないこと。⑤マスクを着用するなどの方法で喉の湿度を保つことが重要である。⑥外出は避ける。⑦うつす/うつされる機会をなるべく減らすことです。

 

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