冬場はトイレトラブルが発生しやすくなる時期とも言われています。 それは単なる故障ではなく、
まさに「事故」といってもよいような深刻なものであり、しっかりと予防しておく必要があります。
ここで簡単にご紹介いたします。
冬場のトイレ内は非常に室温が低くなります。布団に入っていたり、こたつや暖房で体温が高い状態から急に冷えたトイレに入ると、寒さに急にさらされた体の血管が収縮、血圧が上昇し、脳卒中や急性の高血圧症などの危険な症状を引き起こす事があります。これをヒートショックと呼びます。
高血圧症の中でも、朝に最も血圧が高くなる体質の方などは、注意がおろそかになりがちになる事が多く、毎年冬の朝にトイレで倒れる方が多くいらっしゃるのです。 予防法として最も一般的なのは、トイレの室温を高く保つこと、つまりは暖房の設置です。
高年齢の方で、古いトイレを利用されている方がまだまだ多くいらっしゃいますが、高血圧との診断を下された場合は、一般的に暖房が備え付けの温水洗浄便座(ウォシュレット)付きトイレへの交換を検討するべき時期かもしれません。
もう一つ注意を。たとえ最新型のトイレであっても、温水洗浄便座(ウォシュレット)の「節電」をオンにしていると、便座を温める機能も止められている事があります。冬場は節電機能をオフにするなど、細かい所にも気を配りましょう。
陶器でできた便器は、凍結に弱い製品です。特に小便器や水道管との連結部など、水の溜まりが凍結すると、便器が割れて破損する事があります。特に北陸以北の寒い地域では、通常タイプの便器を使用されている家庭で多くこういったトラブルが発生し、破損による水漏れにつながっています。
冬、特に寒くなる地域では、寒冷地タイプと呼ばれる、凍結防止弁がついているトイレが推奨されています。これは、使用していないときでも水が少量常に流れる事で、凍結を防止するというものです。
夏の凍結の恐れがない時期は弁をしめる事で、無駄な水を使わなくて済みます。
もし破損してしまったら、自力で修理する事はまず難しいでしょう。また、高血圧症の方の時と同様、凍結のないよう便器を温かく保つ、というのも一つの対策です。
トイレの交換をするまでもない、室内に暖房器具やファンヒーターを設置しよう、とする方もいらっしゃるかもしれません。 もちろん十分なスペースがない場合は単純に「狭い」というデメリットがありますが、それ以上に危険なのが、プラグが水をかぶってしまう事による出火です。長時間差し込んだままのプラグにほこりが溜まり、そこにかかった水が原因で出火する事をトラッキング現象と言います。手洗い場備え付き等の場合、手を洗う水がかかってしまう事はよくあります。暖房器具のレイアウトには注意をしましょう。
以上のように、冬場に起こりやすいトラブルを紹介いたしました。
冒頭にご紹介した、危険なヒートショック症状。この症状による死亡事故は、年間で1万2000件以上発生しており、交通事故の発生件数を凌駕する、とも言われています。
また、トラッキング現象による出火は1年間に約1200件。全火災の原因のうち、20%を超えています。出来る限りの対策をして、事故を未然に防ぎましょう。